2014年11月13日木曜日

後輩

かつて一年間通った予備校で障害事件が起きた。

30歳の予備校生が包丁のようなもので、19歳の同じく予備校生の左胸を刺してしまった。
加害者は他の生徒と、しばらくまえからトラブルを起こしていて、刺された生徒は、このトラブルの仲裁にあたっていたらしい。

昔、通ったとはいえ、予備校だし、通ったのは随分前の話だし、ということであまり気にせずいたのだけれど、加害者のインタビュー動画がニュースで流れてきた。

ニュースの彼は、とてもやる気に満ち溢れていて、大学進学を目指して頑張っていると語っていたけど、質問に関係ないことまで長い事喋っていて、かなり変わったやつに見えた。まとめサイトのコメントも、痛い人という扱いで一致していたように思う。

30歳を過ぎて、アルファベットがわからない状態から大学進学を目指すというのは、まあ、かなり奇特なことだと思うけど、だからと言って彼の人生なのだから、それはそれでいいのではないかと、個人的には思うけど、それでもあの前向きな姿勢とは裏腹に、彼も苦しんでいたのだろう。

とはいえ、どんな理由があったのかはわからないが、人を刺してしまうというのは、まったく許されない行為であることは自明なのであって、彼に同情するということではない。かわいそうなのは、刺された生徒です。

ただ、自分が通っていた時代から、かなり長い時間が経っているわけだけど、在学中の当時でも、年齢不詳の変わった浪人生というのは何人かいて、面白がって付き合っている人もいれば、無視して受験勉強に勤しんでいる人もいた。僕は、後者に近かったが、そういう人がウロウロしている状況に楽しさも感じたものだった。モラトリアムの予感のようなものがあったからかもしれないけど、もう忘れてしまった。

予備校は現役で合格すればまったく通う必要はなかったと思うけど、通ったなりのなにかはあったような気もするあの期間に感じていた空気は、自分にとってはいい思い出だし、ニュースの彼を勇気付けもしたのではないかと思うが、それでもかれは前向きな人生を手に入れることはできなかった。罪を償ったあとには、もう一度、何かしらの人生の意味を見いだすことができるかもしれないけど、今はそれを考える時期ではない。

そして、その予備校も、来春には閉鎖される。

とにかく、被害者の生徒の、一刻も早い回復を祈ります。

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